top of page

米の味の地域差(美味しいお米の条件)

今朝の報道番組で,お米1kgの値段でギネス記録を持つ方がテレビに出ていた。

ちなみに1kg当たり1万1304円。産地は新潟県南魚沼市,山形県米沢市。

それにしても高いです。

美味しいお米については色んな通説があります。

・海側よりも山側の米が美味しい。寒暖差があると甘くなる。

などなど

この通説の根拠は?

実は科学的にこれを説明したものを見つけることができませんでした。

そもそも米の味とはどうゆう評価基準があるのか?

・外観

・香り

・味

・粘り

・硬さ

大きくこの5項目があがれらます。

ちなみに,お米が甘いと言いますが,それはお米のデンプンです。

唾液(アミラーゼ)との反応で,麦芽糖に分解されたものを甘いと感じています。

米粒の8割以上がデンプンです。

このデンプンは光合成により作られます。

光合成に必要なものは,水,二酸化炭素,そして日射(光エネルギー)です。

そして,東日本では水稲の生育ステージから判断して登熟期(8月)の日射がデンプンの生成量に密接に関わってきます。

ギネスをとった最高級米の産地,日本の有名な米どころはいずれも8月の日射に恵まれています。

粘り・硬さは,デンプンの中のアミロース含量,タンパク含有率で決まります。

アミロース含量が低く,タンパク含有率が低いと食味が良いということがわかっています。

登熟期が高温になるほどアミロース含量は低くなり柔らかくなります。

タンパク含有率は吸収した窒素の量が多ければ多いほど高くなり粘性が小さくなります。

以上を踏まえて,先ほどの2つの通説を科学的に考察します。

その前に,日本のお米の名産地はいずれも8月の日射量が高く,光合成が盛んに行われることでデンプンの生成量が圧倒的に高い。

これが米の味の産地間差の決定的な要因である可能性は高いということは述べておきます。

・海側よりも山側の米が美味しい。寒暖差があると甘くなる。

⇒いずれも”温度”という人が感じやすいものについての経験的知識である。

上記のように登熟期が高温になるほどアミロース含量は低くなりお米は柔らかくなります。

ここに寒暖差は関係ありません。

寒暖差が関わってくるとすれば,夜間の水稲の呼吸量が考えられます。

夜間が高温ほど呼吸,からだの維持に光合成で作ったエネルギーをつかってしまうという可能性があります。

ただし,これについては夜間の温度の差による呼吸量の差はあまり大きくないことがわかっています。

それよりも,生育が良いほど呼吸量が多くなる影響の方が大きいと報告されています。

海側よりも山側の米が美味しいという点も複合的に考え,登熟期の生育だけでなく,その前の段階(出穂期まで)の生育に着目してみます。

海側・山側ではいわゆる比熱が違います。山側の方が暖まりやすく,冷たくなりやすいです。

よって,4~7月の気温は海側の方が高くなります。

”生育期間全体”が高温になれば,出穂期までに吸う(吸える状態)窒素量が増えますので,たとえ海側と山側で同じ量の窒素をまいても,出穂期の段階では海側の方が吸った窒素量は高くなります。

これがタンパク含有率に影響し,食味に影響していると考えられます。

以上をまとめます。

・海側よりも山側の米が美味しい⇒出穂期までに吸った窒素量の差によるタンパク含有率の違い。

・寒暖差があると甘くなる⇒ほぼ間違いの可能性。甘みはデンプンの量で決まるので,登熟期の日射の影響が強いと考えられる。

いずれにしても,どれだけ光合成が出来たのかが重要で,登熟期の日射量が日本における米の味の地域差の決定的要因である可能性は高いと考えています。


特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page